重要な試合までの過ごし方~試合直前の追い込みについて考える~

サッカーなどではシーズンに入ったことで、毎週のように重要な試合が行われるようになりました。

その中で、重要な試合に向けてどのように最高のコンディションを持っていくのかという質問を頂くことが多くなりました。
選手の考え方を聞いていると、直前でいつも以上に追い込んで筋肉や肺に刺激を入れる、ひたすら走りこむなどを聞くことが少なくありません。
もちろんそれで選手自身が試合当日動きやすいのであれば否定はしませんが、追い込まない方がもっと動ける可能性があることも知っておいてほしいです。

自分の考え方を整理する良い機会なので、この質問について書いていこうと思います。

先に結論を言うと、この質問は最終的に「最高のコンディションは日々の練習やトレーニングの積み重ねから生まれる」に行きつくと思っています。

日々頑張るなんて当たり前じゃんと思われるかもしれないですが、理解して実行できている選手は実際どのくらいいるでしょうか?

追い込みの罠

走り込みやハードなウエイトトレーニングなどは追い込んでる感があって、自信ができる、コンディションが上がるなどのプラスの面が多いように見えるかもしれません。

しかし、これには見えないマイナスの面があります。
それが「疲労」です。

トレーニングをすると体力レベル(筋力・持久力などの体力要素のレベル)は向上しますが、同時に疲労も蓄積します。

試合などで発揮できる体力レベル(≒パフォーマンス)は自分は持っている体力レベルから疲労を引いたものと言われており、これをフィットネス-疲労理論と呼ばれています。

発揮できる体力レベル=持っている体力レベル-疲労

つまり疲労というマイナスの面が大きいと自分の力を最大限発揮できないことがわかると思います。

実際、ハードな練習が続いた週の試合は身体が重くて思うように動けない、
逆に風邪などで長めの休みを取ってからの練習は、練習をしていないにも関わらずいつもより動けるという経験もあるのではないでしょうか?

一見追い込みはパフォーマンスを上げるように見えますが、疲労というマイナスの面が蓄積し、最大限の力を発揮できないという罠が潜んでいます。

最大のパフォーマンスを発揮するには体力レベルを上げるだけではなく疲労との関わり方が大事になってきます。

※パフォーマンスは体力レベル以外に様々な影響を受けて変化するのでパフォーマンスと表記するのは望ましくないですが、分かりやすいように今回は発揮できる体力レベルをパフォーマンスと表記します。

フィットネス-疲労理論

試合前の追い込みについて考えるためフィットネス-疲労理論を少しだけ深掘ります。

フィットネス-疲労理論は先ほどお伝えしたように、発揮できるパフォーマンスは自分が持っている体力レベルから疲労を引いたものです。
つまり、自分が持っているパフォーマンスレベルを上げて、疲労も抜けばよりよいパフォーマンスが出せる可能性が高まります。しかし、その考えだけだとコンディション調整は上手くいかないかもしれません。
体力レベルと疲労の特徴を考えて調整していく必要があります

体力レベルは緩やかに向上していくという特徴があります。1日、2日程度ではパフォーマンスに影響を及ぼすほどの向上はなかなか見られないということです。(PAPEやPrimingなどで一時的な向上効果がある場合もありますが)
それに対して疲労は急激に増加し、比較的速く抜けていくという特徴があります。トレーニング直後から疲労の蓄積によりパフォーマンスが落ちたりするほどです。

これらの特徴を踏まえて、試合前の追い込みを考えてみましょう。
試合前に追い込むと、そのトレーニングによる体力レベルの向上が微量ながら見られますが、それと同時に急激な疲労の蓄積がおこります。
つまり、短期的に見て疲労の蓄積が体力向上効果を上回ってしまい一時的にパフォーマンスレベルの低下がおきてしまいます。

※FigureLabsで作成

上の模式図を見ると、試合の日に疲労が残って最大のパフォーマンスを発揮できていないことが分かると思います。

じゃあ結局パフォーマンスはどう上げる?

今までの話を踏まえて、どうパフォーマンスを上げれば良いか。

それは、普段の練習・トレーニングを全力で取り組むことです。

先ほど体力レベルと疲労の特徴について述べましたが、それがしっかり理解できているとこの意味がよりわかると思います。

体力レベルは急激に増加しないため直前で上げようと思っても難しいです。むしろ疲労の蓄積が上回って、思うようなパフォーマンスが出せない可能性があります。
普段から全力で練習・トレーニングに励み、少しずつ着実に体力レベルを上げておくことで重要な試合直前は疲労を抜くことに集中でき、発揮できるパフォーマンスを高めることができます。

仮に、様々な理由(仕事やテスト期間、ケガなど)で体力レベルを上げれなかった場合は、追い込みたくなる気持ちを抑えて今ある体力レベルで勝負する方が良いと私は考えています。(強度を急に上げることは疲労の観点だけでなく、ケガの面からみても望ましくないので)

体力レベルは急激に向上しないということを理解しておかないと、過度な期待から直前で追い込むという考え方がうまれてしまうと思うのでしっかり頭に入れておいた方が良いと思います。
試合前は「能力を上げる」ではなく、「今持っている能力を最大限活かす」と捉えておくとよいです。

継続は力なりですね!

最後に

今回は最大のパフォーマンスを発揮するために体力レベルと疲労の観点からお話ししました。
他にも様々な要因がありますが、皆さんの考え方の助けになればと思います。

次回は実際どのように負荷設定すれば良いかを書ければと思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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